1 郵政民営化はあらゆる改革につながる 「改革の本丸」 |
小泉内閣は 「民間に出来ることは民間に」 の方針のもと、構造改革に今日まで取り組んできました。
今回の郵政民営化は、行財政改革をはじめとするあらゆる構造改革につながる、「小泉構造改革の本丸」 です。
特に340兆円もの国民の大切な資産が、郵便貯金、簡易保険を通じて、国債の購入や特殊法人向けの資金供給といった 「官」
の世界でのみ使われている事態を解消し、民間向け資金として活用の道を拓くことは、国家財政に規律を取り戻して小さな政府を実現する上でも、経済を活性化する上でも喫緊の課題であります。
また、郵政民営化は、38万人の公務員を民間人とする行政改革であり、民間精神に基づく国際物流への進出などの新しいサービス提供や資金の多様な運用、法人税等の支払い、株式売却益などによる財政再建への貢献など、国民的な利益に適うものであります。
また、出口の特殊法人改革は、小泉構造改革で大きく前進しており、今後、政府系金融機関改革にも取り組みます。
入口の郵政改革に加え、こうした出口の改革にも取り組みます。
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2 国会での議論 |
衆議院の 「郵政民営化に関する特別委員会」 においては、109時間という異例の長時間にわたる徹底した審議が行われました。
この審議の結果を受けて、政府案に対し、郵便局での貯金、保険サービスの確保等について重要な修正が行われました。 さらに、参議院の
「郵政民営化に関する特別委員会」 においては、実に82時間近くにわたる審議が行われました。 衆議院では行われなかった、郵便局の実地調査も行われ、「良識の府」
参議院にふさわしい、内容の濃い議論が展開されました。
また、審議の中で、各委員から出された数々の疑問点に対して、政府が誠実かつ真摯に対応し、衆議院の審議では不明確であったポイントに関して、踏み込んだ答弁が行われました。
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3 郵政事業の経営は現状のままでは厳しく、公社形態では中長期的には
「ジリ貧」 |
郵便事業は、今後、電子メール等に押されて取り扱いが減少し、収益が悪化する見通しです。
また、貯金・保険事業も、制約の多い公社制度のもとでは、民間との競争に勝ち残ってはいけません。
特別委員会の答弁の中で、日本郵政公社の生田総裁自らが、「現在の公社制度のままでは、中長期的には困難な状況となり、料金値上げや、過疎地のサービス打ち切りにつながりかねない」
との発言をされたことを重く受け止めるべきです。
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4 今すぐ、改革の断行を |
このような厳しい郵政事業の状況を考えると、現状維持に汲々とするのではなく、改革を断行することで、将来の展望を切り拓くべきだと考えます。
経営が行き詰ってから、税金投入が必要となる、といった事態だけは避けなければなりません。 民営化が最終的な姿に至るまでには、相当年数の準備期間と移行期間が必要であることを考えると、後手に回るのではなく、体力のある内に先手を打って民営化を行い、新規事業への参入の道を開くことが、郵政事業の持続的発展のためには絶対に必要です。
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5 国民の不安、懸念を解消 |
しかし一方で、国民の間には、民営化によって
「過疎地の郵便局がなくなってしまうのではないか」、「貯金や保険サービスが打ち切られるのではないか」、といった様々な不安が存在するのも事実です。
そういう不安に応えるため、特別委員会の審議の中で、法案内容がチェックされ、総理等の答弁で確認が行われています。
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(1)国民の貴重な資産である郵便局ネットワークは維持 |
その一つは、国民の資産である郵便局ネットワークは、民営化後も維持されるということです。
言うまでもなく、郵便局株式会社法案で 「…あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない」 という義務が定められています。
さらにこの義務規定に加えて、省令案や政府答弁により、過疎地においては、現行の郵便局ネットワークの水準は間違いなく維持されるということが明確に担保されているとともに、過疎地以外の都市部においても、国民の利便に支障が無いよう、十分な配慮がなされることが確認されました。
特に、特別委員会での答弁において、小泉総理から 「郵便局ネットワークは国民の資産」
であり、「このネットワークを守って、万が一にも国民の利便に支障が生じないようにしていきたい」 との決意が示されたことは非常に重い意味があります。
以上のことから、国民の間にある郵便局がなくなるのではないか、との懸念は、国会での審議を通じて払拭されたと考えます。
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(2)郵便局における貯金・保険サービスの確保 |
2つ目は、貯金・保険サービスについても、郵便局ネットワークを活用して現行水準のサービス提供が、しっかりと担保されていることです。
衆議院の修正により、銀行・生命保険業の代理業務について法案に明示され、地域・社会貢献基金を2兆円まで増額できるようになりました。 また
「移行期間後の持株会社による連続的な株式保有」 も可能となりました。 しかも参議院での答弁で
「移行期間中であっても郵便局会社による貯金・保険2社の株式保有が可能である」
ことが確認されたため、3事業一体的なグループ経営により、これまでと同様、郵便と貯金・保険が一体となったサービスの確保が可能であると考えます。
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(3)3年ごとの見直しにより、適切に対応 |
そして3つ目は、3年ごとの見直し規定が設けられていることです。 ここで言う 「見直し」
とは、「経営形態のあり方を含む全ての事象を対象とする」
ものであることを小泉総理が明確に答弁され、民営化委員会によって郵政民営化の進捗に関してあらゆる見直しが行われることが確認されています。
平成29年の完全民営化までの長い道のりの中で、実際に国民に不便を感じさせるような事態が発生した場合には、4分社化といった経営形態のあり方も含めて、適時適切に見直しが行われます。
こういった答弁で確認された事項は、委員会での15項目にわたる附帯決議という形で、さらに確実に担保されております。
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6 郵政民営化が日本を変える |
このような政府・与党の長期にわたる真剣な努力にかかわらず、郵政民営化法案は去る8月8日参議院本会議において不幸にも否決されてしまいました。
改革派だったはずの民主党が将来の民営化の必要性を認識しながら、改革の厳しさに直面する勇気をもてず、公社の中期計画に格好の口実を見つけて改革先延ばし論に堕し、一日も長く公社のもとでの官公労体制を維持したいという労組の考え方と安易に野合してしまったことが第1の要因です。
また一部自民党議員の中にも残念ながら、政府与党の前記の努力に対してわざと目をつむり、あるいは耳をふさいでその意味を理解しようとせず、最終的に党議に反する行動に走る者が出てしまった。
これが第2の要因でした。 しかし政治家は、国家国民の利益になる以上、いかなる困難も克服し、その改革を実現していかなければなりません。
そもそも、郵政民営化は小泉総理が政治家として、長年信念を持って取り組んでこられたテーマです。
しかし、小泉総理よりはるか以前に実はこれを提唱していた人物が居ます。 和歌山県出身で初代郵政大臣にあたる初代駅逓頭を務めた浜口梧陵翁です。
この浜口翁は津波から住民を守った 「稲叢の火」 の逸話や私財での堤防建設といった、現代のボランティアやPFIを先取りしたような正に 「民間主導」
の業績を数多く残している人物ですが、この浜口翁が郵便事業に関して 「将来は民間の経営に委ねるがよい」
との言葉を実質的な初代郵政大臣として今から134年前の明治4年に残しております。
改革の先哲の志を受け継ぎ、立党50年の今、自民党は改革政党に変わりました。 その姿を今回の選挙でも国民にはっきりと見せなければなりません。
そして、総選挙で国民の皆さんの支持をいただき、自民党は日本を変える郵政民営化に再挑戦する決意でおります。
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